弁護士による相続相談【弁護士法人心 栄法律事務所】

弁護士による相続相談@栄

遺産分割前の相続預金の払戻しについて

  • 文責:所長 弁護士 江口潤
  • 最終更新日:2025年2月28日

1 口座の名義人が亡くなったことが分かると払戻しができなくなる

預貯金の口座の名義人が亡くなったことが分かれば、その口座の預金の払戻しができなくなります

このことを「口座凍結」と呼ぶこともあります。

払戻しができなくなるのは、金融機関は、口座名義人が亡くなったのであれば、それを誰が引き継いだのが誰であるのかを確認しなければ、払戻しをすることができないからです。

そのため、口座の届出印があったり、キャッシュカードの暗証番号を知っていたりしたとしても、預貯金の払戻しはできなくなります。

亡くなった場合に、ただちに払戻しができなくなるわけではなく、金融機関が亡くなったことを知ったときに払戻しができなくなります。

通常は、相続人の方から金融機関への届出によって、口座凍結がされますが、それに限られるわけではありません。

2 権利のある者の手続きによって、払戻しを受けることができる

金融機関が相続預金の権利が誰にあるのかを確認できない限り、預金の払戻しを受けることができません。

遺言書があり、その預貯金を誰が取得するのかが記載されていれば、その方が手続きをすることができます。

しかし、遺産分割が必要であれば、遺産分割ができない限りは、原則として、預貯金の払戻しを受けることができません。

遺産分割をする前に預貯金の払戻しを受けようとすれば、相続人全員で手続きをすることで預金の払戻しを受けることができます

相続人の代表者や振込先の口座を決めて、払戻しを受けます。

この場合にも、金融機関に提出する書類は、相続人の画定に必要な戸籍や、相続人全員の実印が捺印された手続き書類、印鑑登録証明書が必要になるのが通常です。

 

3 預貯金の仮払い手続き

相続人のうちの一人が預貯金の仮払いを受けることができるようになりました

この手続きを利用すれば、葬儀費用や相続税などの資金に充てることができます。

所定の書類を準備したうえで、相続人が金融機関に申請をすることで、他の相続人の同意を得ることなく、仮の払戻しを受けることができます。

ただし、払戻しを受けられる額の上限が定められており、それぞれの預金に対する法定相続分の3分の1が上限です。

さらに、150万円を超えて払戻しを受けることもできません。

この制度を利用して受けた払戻金は、遺産分割において考慮されることになります。

  • 選ばれる理由へ
  • 業務内容へ

弁護士紹介へ

スタッフ紹介へ