弁護士による相続相談【弁護士法人心 栄法律事務所】

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遺産分割がまとまらない場合、相続登記はどうすればよいですか?

  • 文責:所長 弁護士 江口潤
  • 最終更新日:2025年3月5日

1 遺産分割がまとまらない場合にも、相続登記をすることは可能

相続登記をする場合、遺言書等がなければ、相続人全員で遺産分割協議をし、その内容の遺産分割協議書を作成して、その書類をもとに、相続登記をするというのが通常です。

その遺産分割協議によって、その不動産を取得することになった者が、相続登記をすることになります。

しかし、遺産分割がまとまらない場合にも、相続登記ができないわけではなく、相続人は、各自の法定相続分に応じた相続登記をすることができます

たとえば、亡くなった方に配偶者と子ども2人の相続人がいた場合、亡くなった方が単独で所有していた不動産について、配偶者が2分の1、子ども2人が4分の1ずつの持分として相続登記をすることが可能です。

その相続登記は、相続人全員でする必要はなく、相続人が単独で、または、その一部だけがすることができるとされています

ただし、不動産の権利者であることを示す資料となる登記識別情報通知は、登記申請をした相続人にしか発行されませんので、注意しなければなりません。

 

2 なるべく遺産分割が成立してから、相続登記をした方がよい

上述のとおり、遺産分割がまとまらなくても相続登記をすることができますが、成立した遺産分割が相続登記の内容と異なるものであった場合には、改めて、その内容にしたがった遺産分割での相続登記をする必要があります。

相続登記には、手間も費用もかかりますので、このように二度手間となる可能性があるのであれば、遺産分割が成立してから相続登記をした方がよいといえます。

 

3 遺産分割がまとまらない場合における相続登記の義務化への対応

令和6年4月1日から、相続登記が義務化されました。

相続人は、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません

これは、遺産分割が成立して、そのことで不動産を取得した日から3年以内ということではありません。

自らが相続人となったことと、相続財産に不動産があることを知っていれば、その相続人にはその不動産についての権利がありますから、相続登記の義務があることになります。

このときに、遺産分割がまとまっていなければ、上述のような相続登記をすれば、この義務は果たしたことになります

しかし、これには手間や費用などの問題があるということは上述したとおりです。

そこで、相続人申告登記という方法が認められており、それによれば、登記名義人について相続が開始しており、自らが相続人(のひとり)であることを登記することになります。

この相続人申告登記をしていれば、その相続人は義務を果たしたことになります

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